もっと女性が社会進出しなければ、男性社会は壊れない

男性社会

誰にとっても生きづらい男性中心社会。これを破壊するには、女性の社会進出をさらに進め、社会の意思決定権者の半数以上を女性が占めることが必要だ。現在の社会で主導的な地位にいる男性たちを追い落とし、その椅子を女性たちが奪うことでしか、この男性中心社会を変革することはできない。

事実として日本は男性社会である

いまの日本は強固な男社会だ。現在の日本は、社会のほとんどすべてを男性が設計し、運用している状況にある。社会の仕組み作りや意思決定の場に女性が不足しているからだ。男女雇用機会均等法が1986年に施行されてからすでに35年である。しかし社会の意思決定を担う女性は未だごく少数にとどまる。

行政や企業の重職に就いたり、国会議員として大臣や副大臣を務めたりするためには、長期間にわたる不断の努力が必要だ。運や才能に恵まれる必要もあるだろう。誰もがなれるわけではない。だからこそ多くの女性、少なくとも男性と同数かそれを上回る数の挑戦する女性が必要なのだ。

国際団体である世界経済フォーラムが毎年発表しているジェンダーギャップ指数(GGI)においても、2021年の日本は156か国中120位と、先進国の中では最低の水準にある。この指数は「経済」「政治」「教育」「健康」の4つの分野の男女比から作成される。この4分野のうち、問題は「経済」と「政治」だ。

日本は、特に、「経済」及び「政治」における順位が低くなっており、「経済」の順位は156か国中117位(前回は115位)、「政治」の順位は156か国中147位(前回は144位)となっています。

男女共同参画局「共同参画」2021年5月号より

経済や政治の分野における意思決定権者のほぼすべてが男性であることの問題は、女性の目には明らかな差別も、男性の目には見えないか、見えても過小評価されてしまうことだ。

男性社会から女性は見えない

キャロライン・クリアド=ペレスが著書「存在しない女たち ─男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く」で繰り返し述べているように、政治や行政や企業の意思決定者が男性ばかりで占められていると、次のような問題が起きる。

  • 意思決定のための根拠となる統計や調査において、前提となる調査項目の設定の時点で女性の視点が抜け落ち、結果として女性が不可視化された不完全なデータが収集されてしまう。
  • 不完全なデータを元にして策定される政策や企業戦略は、必ず不完全なものになる。間違った政策や戦略を実行しても、不十分な結果しか得られないか、まったく意味がないか、有害になる。
  • 女性の視点を欠くという間違いは、悪意を持って意図的に女性を除外しているのでもなく、意思決定権者が男性ばかりであるために「単に見えていない」ことが原因で起きる。

例えば学校や被災地における生理用品の問題。これは男性である私自身、マスコミやネットで話題になるまで意識したことがなかった。情けないことだ。私のような男性が何人集まろうと、生理用品やそれに類似する問題を十分に解決する意思決定はできないだろう。十分な数の女性が意思決定の場に必要なのは自明だ。

女性の社会進出は女性自身の義務

これまで女性は、多くの声を上げることで、また、署名を集めたり、それらを元に陳情したりすることで、社会全体の人権感覚を育ててきた。こうした活動は女性の正当な権利を獲得する上で一定以上の成果を上げてきたし、今後も継続していくべきだろう。

しかしそれだけでは不足である。政治や経済の分野で、女性自身が意思決定の場に進出する必要がある。そして女性たちが女性のための意思決定をしていく必要がある。現状のように、女性は声を上げるだけで、あとは男性社会の温情に期待するというのでは、父親や彼氏や夫におねだりしている状態と変わりがない

女性自身による主体的かつ主導的な動きが必要だ。女性はおねだりするだけの甘えた子供のような存在から、社会の意思決定を担う者にならなければならない

意思決定権者の座から男性たちを引きずり下ろし、自分がそこに座らなければならない。もちろんすべての女性が社会の意思決定権者になれるわけではないが、社会の意思決定権者の少なくとも半数を女性が占めるように、女性自身が奮励努力すべきだ。

いまから始められることは何か

求められているのは自分自身が行動することだ。おねだりして与えてもらうのではなく、努力を積み重ねて勝ち取ることだ。児童生徒だった頃を思い出せば、常に女子生徒は男子生徒を能力で圧倒していた。すべての女性がその頃のままに粉骨砕身し続けるだけのことだ。

  • あなたが学生なら、自分自身が官公庁や大企業の幹部や国会議員になる未来を描き、そのために勉学に励み、キャリアを積み上げよう。
  • あなたが官公庁や企業における若手なら、いまの条件に照らして最大の出世を目指そう。社会の意思決定権者にはなれなくても、いまの立場から見える範囲で少しでも多くの意思決定権を持つことはできる。
  • あなたがすでに若くないなら、政治家を目指そう。政治家であれば何歳からでもなれるからだ。地方議会であれば現状すでに、政治経験のない女性が立候補している姿を見ることができる。
  • 自分の娘や親戚の娘が学齢期なら、官公庁や企業の幹部になるように、また政治家になるように教育したり啓蒙しよう。あなたの代では実現しないだろう理想の実現を次の世代に託すのも、あなたができる重要な仕事だ。
  • 息子しかいないなら、社会の意思決定者となる女性をサポートできる男性に育てよう。家事や育児のスキルや、家計管理のスキル、パートナーのケアなどを高いレベルで身につけさせよう。主夫として家庭を切り盛りできる男性の需要は、女性の社会進出と歩調を合わせるように高まっていくだろう。

日本の人口構成では、女性の数は男性を上回っている。数の上では、女性はマイノリティではなくマジョリティだ。障害者やLGBTQ+や在日外国人のような絶対的なマイノリティ性とは異なる。数の上で圧倒するという意味では男性以上に有利なのだ。そして能力もある。あとは、やるかやらないか、続けるかあきらめるかだけの問題だ。